上から目線でモノをいうオトコたち
2016-01-15


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成人式における自治体首長の発言に関する報道についてのコメント
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ついこのあいだ千葉県浦安市で開かれた成人式で、同市の松崎秀樹市長が「出産年齢は18歳から26歳を指すそうだ」「若いみなさんに大いに期待したい」と発言した。だから若いうちに出産について考えてほしい、それが人口減を食い止めることにつながる、と言いたいのだろう。
市によると、松崎市長は「人口減少のままで今の日本の地域社会は成り立たない」などと述べた。

だが、市長発言直後に、日本産科婦人科学会は「学会として『出産適齢期は18歳から26歳を指す』と定義した事実はない」と、公式にコメントを出した。最初にあげたのが、同学会のHP内のコメントだ。

そしてある新聞には、読者からの投書として市長の発言に「若いうちに子供を産め」と押しつけるのはやめていただきたい、と。社会のために、少子化をなくすために、女性は出産するのではありません、とも。

正直言ってわたしも市長の発言に違和感どころか、大きな疑問を感じている。
18歳から26歳という8年間は、たしかに若い時期ではあるが、同時に進学や就職という人生の大きな節目である。仮に大卒だとして26歳は4年目。仕事がおもしろくなりつつある時期でもある。そんなときに出産でキャリアを中断されたくないという女性もいる。反対に仕事をやめて子育てがおちついたらまた復帰したいという女性もいる。
つまり、人の生き方はさまざまであり、18歳から26歳までのあいだに人生の道が、出産で左右されたり決められたりするような不自由なものであってはいけない。そういう押しつけられた不自由さに異議あり、「NO」という声が、女性たちの中から出ていることに、この市長は気づいているのかいないのか。

もうひとつ、もし仮に百歩譲って出産適齢期なるものがあるとしても、26歳を過ぎて適齢期ではないのか? 高齢出産も増えている。まるで18歳から26歳以上は出産に適していないとでも決めつけられたようで、不快に思う女性が多いのではないだろうか。

結論を言うと、こういうえてして女性のために、少子化のためにという建前でモノを言う人たちほど、実際の女性がおかれている状況、出産や育児をしながら働くことの難しさを知らない、といっていい。先日書いた安倍首相の「パートで25万円」という発言もそうだけれど、実際の姿を見ていない、「上から目線以上」に、自分たちのオトコ目線でしかモノを考えていないと言わざるを得ない。安倍は「そういうことは言っていない」というが、どうどこから見てもそういうことになる。これまでも政治家の言葉に「?」を感じたことがあるが、これほど「?」を感じたものはない。

政治家、権力者のいう「○○のために」という言葉に惑わされないように。都合いい口あたりのいい言葉ほど、信用できないものはない。

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